VCSELアレイを用いた書き込み光学系
Laser Scanning Module Adopted with VCSEL array
酒井 浩司
*市井 大輔
*渡辺 直人
*石田 雅章
*大森 淳史
*Kohji SAKAI Daisuke ICHII Naoto WATANABE Masaaki ISHIDA Atsufumi OMORI
武末 敏洋
**須賀 智昭
***三ヶ尻 晋
***貝間 信謙
****山下 英俊
****Toshihiro TAKESUE Tomoaki SUGA Susumu MIKAJIRI Nobuyoshi KAIMA Hidetoshi YAMASHITA
要 旨 プロダクション・プリンティングにおける高画質化に向けて,光源に40チャンネルのVCS ELアレイを搭載した書き込み光学系を開発した.高画質化にはドットの位置制御や細線再現性 の確保が必要であり,本書き込み光学系では,走査線のボウ・スキュー補正,表裏倍率補正と いった補正技術により実現している. これらの補正技術が有効に機能するには,40チャンネルのビームの光量安定化と,それらが 形成する走査線のピッチ安定化が求められ,その技術も併せて開発した.本VCSELアレイ技 術は,高速・高密度が求められるリコーのデジタルカラー複合機に広く展開していく予定である. ABSTRACT
We have developed a laser scanning module adopted with a VCSEL array so as to provide a high-definition production printing machine. It is necessary for a high-high-definition to ensure the location controll of dots and reproducibility of fine lines. We could attain them due to the bow-skew correction of scanning lines and misregistration correction in dulpex printing.
It is important to stabilize light intensity of 40 channels beam and each pitch of scanning lines so as to operate the correction technologies effectively. We also developed the stabilization technologies. The technologies is going to be expanded to several digital color machines which are demanded a high-speed and high-definition.
* 画像エンジン開発本部 モジュール開発センター
Module Development Center, Imageing Engine Development Division ** コントローラ開発本部 CH開発センター
CH Development Center, Controller Development Division *** PP事業本部 CS設計センター
Cut Sheet Designing Center, Production Printing Business Group **** MFP事業本部 第三設計センター
1.
背景
近年,PP(プロダクション・プリンティング)分野 では,高画質化への要求が高くなっている.高画質化 のためには,構成部品の加工/組み付け誤差や,経時/周 囲温度変化といった要因による品質劣化に対し,きめ 細かく補正を行わなければならない.この補正技術は, 各社でさまざまなアプローチが検討されているが,ど のような技術であれ,補正の効果を高めるためには, 高解像度にすることが必要となる.しかし,高解像度 化に加え,高生産性もまた,PP分野では必須の要件で ある. この両立を図るために,我々は従来の端面発光型の 半導体レーザアレイよりも発光点数の増加が可能な VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイ と,これを搭載した書き込み光学系を開発し,4800dpi という,業界でも最高の解像度を実現した.これによ り,表裏倍率補正や,走査線曲がり/傾きの補正が5μ m単位でできるようになった. 本報は,我々の開発したVCSELアレイを用いた補正 技術,更にはその補正技術を支える光波形制御,書き 込み光学系を紹介する.2.
高画質化
2-1 表裏倍率補正 両面印刷を行った場合,表裏で同一の画像を形成し ても,一般には重ならない.なぜなら,定着装置に紙 を通すと,加熱により水分が失われて紙は収縮し,そ れに伴い画像も縮むからである.表面の作像において, 紙が定着装置を通過する際,このような現象が起こる ため,裏面の画像は表面に対して倍率が大きくなった ように見える. PP分野では,表裏見当精度,表裏レジスト精度に対 する市場ニーズが強く,生産性を落とさずに,これを 補正することが求められている.従来は,主走査方向 の倍率補正を書き込みクロック周期の増減にて行い, 副走査方向の倍率補正をポリゴンミラーの回転数変更 にて行っていた. しかし,ポリゴンミラーの回転数は,変更してから 安定するまでに時間を要するため,生産性が著しく低 下する.そこで,VCSELアレイによる4800dpi書き込み を活かした副走査倍率補正技術を開発した. Fig.1に副走査倍率補正処理のアルゴリズムを示す. 元画像に対して単純に横1ラインの挿入を行うと,局所 的な歪み等の副作用が発生し画像が劣化してしまう. そこで本アルゴリズムは,離散的な画素挿入(拡大)/ 画素間引き(縮小)にて補正を行う. (0,0) (1,0) (2,0) (3,0) (4,0) (5,0) (1,0) (2,0) (3,0) (5,0) (0,1) (1,1) (2,1) (3,1) (4,1) (5,1) (0,0) (1,1) (2,1) (3,1) (4,0) (5,1) (0,2) (1,2) (2,2) (3,2) (4,2) (5,2) (0,1) (1,2) (2,2) (3,2) (4,1) (5,2) (0,3) (1,3) (2,3) (3,3) (4,3) (5,3) (0,2) (1,3) (2,3) (3,3) (4,2) (5,3) (0,4) (1,4) (2,4) (3,4) (4,4) (5,4) (0,3) (2,4) (3,4) (4,3) (0,5) (1,5) (2,5) (3,5) (4,5) (5,5) (0,4) (1,4) (2,5) (3,5) (4,4) (5,4) (0,6) (1,6) (2,6) (3,6) (4,6) (5,6) (0,5) (1,5) (2,6) (3,6) (4,5) (5,5) (0,7) (1,7) (2,7) (3,7) (4,7) (5,7) (0,6) (1,6) (2,7) (3,7) (4,6) (5,6) (0,8) (1,8) (2,8) (3,8) (4,8) (5,8) (0,7) (1,7) (3,8) (4,7) (5,7) (0,9) (1,9) (2,9) (3,9) (4,9) (5,9) (0,8) (1,8) (2,8) (3,9) (4,8) (5,8) (0,10) (1,10) (2,10) (3,10) (4,10) (5,10) (0,9) (1,9) (2,9) (3,10) (4,9) (5,9) (0,11) (1,11) (2,11) (3,11) (4,11) (5,11) (0,10) (1,10) (2,10) (3,11) (4,10) (5,10) (0,12) (1,12) (2,12) (3,12) (4,12) (5,12) (0,11) (1,11) (2,11) (4,11) (5,11) (0,13) (1,13) (2,13) (3,13) (4,13) (5,13) (0,12) (1,12) (2,12) (3,12) (4,12) (5,12) (0,14) (1,14) (2,14) (3,14) (4,14) (5,14) (0,13) (1,13) (2,13) (3,13) (4,13) (5,13) (0,15) (1,15) (2,15) (3,15) (4,15) (5,15) (0,14) (1,14) (2,14) (0,0) (1,0) (2,0) (3,0) (4,0) (5,0) (1,0) (2,0) (3,0) (5,0) (0,1) (1,1) (2,1) (3,1) (4,1) (5,1) (0,0) (1,1) (2,1) (3,1) (4,0) (5,1) (0,2) (1,2) (2,2) (3,2) (4,2) (5,2) (0,1) (1,2) (2,2) (3,2) (4,1) (5,2) (0,3) (1,3) (2,3) (3,3) (4,3) (5,3) (0,2) (1,3) (2,3) (3,3) (4,2) (5,3) (0,4) (1,4) (2,4) (3,4) (4,4) (5,4) (0,3) (2,4) (3,4) (4,3) (0,5) (1,5) (2,5) (3,5) (4,5) (5,5) (0,4) (1,4) (2,5) (3,5) (4,4) (5,4) (0,6) (1,6) (2,6) (3,6) (4,6) (5,6) (0,5) (1,5) (2,6) (3,6) (4,5) (5,5) (0,7) (1,7) (2,7) (3,7) (4,7) (5,7) (0,6) (1,6) (2,7) (3,7) (4,6) (5,6) (0,8) (1,8) (2,8) (3,8) (4,8) (5,8) (0,7) (1,7) (3,8) (4,7) (5,7) (0,9) (1,9) (2,9) (3,9) (4,9) (5,9) (0,8) (1,8) (2,8) (3,9) (4,8) (5,8) (0,10) (1,10) (2,10) (3,10) (4,10) (5,10) (0,9) (1,9) (2,9) (3,10) (4,9) (5,9) (0,11) (1,11) (2,11) (3,11) (4,11) (5,11) (0,10) (1,10) (2,10) (3,11) (4,10) (5,10) (0,12) (1,12) (2,12) (3,12) (4,12) (5,12) (0,11) (1,11) (2,11) (4,11) (5,11) (0,13) (1,13) (2,13) (3,13) (4,13) (5,13) (0,12) (1,12) (2,12) (3,12) (4,12) (5,12) (0,14) (1,14) (2,14) (3,14) (4,14) (5,14) (0,13) (1,13) (2,13) (3,13) (4,13) (5,13) (0,15) (1,15) (2,15) (3,15) (4,15) (5,15) (0,14) (1,14) (2,14) (3,14) (4,14) (5,14) (0,16) (1,16) (2,16) (3,16) (4,16) (5,16) (0,15) (1,15) (2,15) (3,15) (4,15) (5,15) (0,17) (1,17) (2,17) (3,17) (4,17) (5,17) (1,16) (2,16) (3,16) (5,16) (0,16) (1,17) (2,17) (3,17) (4,16) (5,17) (0,17) (4,17) 拡大 挿入画素 4画素 16画素 挿入位置 (a)元画像 (b)補正画像 Fig.1 Principle of Correction.例えば17/16の拡大処理の場合,以下の2点に基づき 挿入画素位置を決定する. ① 副走査方向の16画素ごとに1画素挿入する ② 挿入画素位置を主走査方向のエリアごとに均等 にずらす 具体的には,Fig.1の元画像(a)の座標(0,0),更に副 走査方向に16画素離れた座標(0,16),(0,32),(0, 48),…ごとに画素挿入する.そして,その分だけ元画 素を副走査方向にシフトさせる. 次に,となりの主走査方向のエリアについては,副 走査方向に4画素離れた座標(1,4),(1,20),(1,36), (0,52),…に画素挿入し,同様に元画素を副走査方向 にシフトさせる.このような処理を主走査方向の全エ リアにわたって行うことで,補正画像(b)は局所的な歪 みがなく,画像の倍率を拡大できる.
2-2 走査線曲がり・傾き補正 カラー画像においては,色ずれの低減も画質向上の 課題である.色ずれとは,複数色の画像を狙いの位置 に重ねることができず,意図した色合いと異なった画 像を出力してしまうことである. おもな色ずれ成分には,走査線曲がり/傾きがあり, それらを補正することが必須であるが,その技術も VCSELアレイによる4800dpi書き込みを活かしたものと なっている.Fig.2に走査線曲がり/傾き補正処理の動作 概念を示す. 入力画像データ:A 出力画像:B (補正なし) 補正データ:C 出力画像:D (補正あり) 補正 入力画像データを 光学系による曲がり成分を 打ち消す様に副走査にデータをシフト 1エリア
Fig.2 Principle of Correction.
入力画像の横線データ:Aを補正なしで出力すると, 出力画像:Bは湾曲してしまう.これが走査線曲がり である.そこで入力画像の横線データを,走査線曲が りを打ち消すように4800dpi単位(約5μm)で副走査 方向にシフトさせ,補正画像データ:Cに変換する. 補正データにて出力した画像:Dは湾曲成分がキャ ンセルされている.この補正処理を各色で実施するこ とで色ずれが解消される. 補正データへの変換方法について説明する.画像 データの副走査シフト処理は主走査方向に分割したエ リア単位で行う.エリアごとに4800dpi単位でシフトさ せる.シフト処理は主走査先端エリアから行い,1エリ アごとに±1単位シフトする/しないを決定することで 隣接エリアとのシフト量が±1単位以下となるようにす る.従って,副走査シフト処理による画像の段差は 4800dpi(5μm)以下となり,画像のアウトラインの 滑らかさを損なうことはない.
3.
光波形制御
従来の端面発光型の半導体レーザアレイに比べ, VCSELアレイは構造上の違いにより,微分抵抗が1桁 ほど大きく,駆動電流に対して光波形の応答性が悪い. そのため,例えば,数ns~数十ns以下のごく短い時 間の光出力により孤立ドットや斜線を表現しようとす ると,応答性の遅れによって露光量が不足し,正しく 濃度表現できない. 従来は,この解決策として,レーザ点灯時の駆動電 流に補正電流を重畳して光波形の応答性を改善し,光 波形の積分光量の補正を行っていた.積分光量とは, 点灯光量を光波形の点灯時間(横軸)で面積分した値 のことで,感光体への露光エネルギー量に相当する. しかしながら,この光波形の応答性は,光源特性/駆 動回路と光源間の寄生容量/発光量/周囲温度などの影響 を受けるため,光源ごと,或いは経時/周囲温度変化で 変動する. そこで本システムでは,重畳する補正電流値を数段 階で選択できるようにすることで,光波形の補正量を 調整可能にした(Fig.3).これにより光波形の応答性 が異なる場合でも,最適な補正電流値を選択すること で,光波形の積分光量を一定にしている. また,最適な補正電流値を選択するには,予め光波 形の積分光量を得る必要がある.そのために,VCSEL アレイを連続パルス点灯させ,そのときのレーザビー ムの光量をフォトダイオードで検出する.そして,そ の値が狙いの積分光量になるように,補正電流値を設 定する.さらに,VCSELアレイでは多数のレーザビー ムに対して補正を行うので,各々の積分光量のばらつ きが小さくなるようなパルス点灯のパターンや狙いの 積分光量を選択している. 時間 光量 補正量を 調整Fig.3 Correction Current Value and Adjustment of Optical Waveform.
補正電流値の調整を行うタイミングとしては,まず, システムの電源On時に実行し,これにより光源ごと, および初期光量,初期周囲温度での積分光量と,狙い の積分光量の差を補正する. 次に経時変化として,前回の補正電流値の調整以降 に,光量を変更したときや,周囲温度がある程度変化 したタイミングで,補正電流値の再調整を行う.光量 や周囲温度が,前回調整したときに対し変化すると, 光波形の応答性も変動するため,積分光量が狙いの値 より外れていくので,定期的に補正電流の再調整を行 うことで,積分光量の経時変化を抑える. Fig.4に,本機能にて光波形の補正を行った場合と行 わない場合の,斜線の拡大図を示す.光波形の積分光 量を補正することにより,斜線のかすれが改善されて いることが分かる.
補正無し
補正有り
Fig.4 Comparison of Image.
4.
光学系
4-1 フロントモニタ光学系 VCSELアレイは端面発光型の半導体レーザと異なり, 素子の後方にレーザビームを射出できない.従って, レーザビームの光量をフィードバック制御するには, 前面から射出したレーザビームを分岐し,一方を光量 検知に利用するといった工夫が必要となる. 制御基板(VCSELアレイ,PD含む) カップリングレンズ アパーチャミラー 集光レンズ X Y ZFig.5 VCSEL array Light Source Unit.
上述の分岐にはハーフミラーを用いる方式があるが, この場合,感光体の照射エネルギーロスが避けられな い.このことは,VCSELアレイに高出力を要請するこ ととなり,長寿命化や生産性向上の障害となる.そこ で,裏面をミラー加工したアパーチャを分岐手段とす るアパーチャミラー方式を採用し,光量ロスのないフ ロントモニタ光学系を実現した. VCSELアレイ PD 集光レンズ カップリングレンズ アパーチャミラー ミラー モニタ用アパーチャ X Y Z X Y Z 制御基板 感光体へ
Fig.6 Front Monitor Optical System.
Fig.5に光源ユニット斜視図を,Fig.6に光源ユニット 内のフロントモニタ光学系の概略図を示す.同一の制 御基板上にVCSELアレイとPDを近接させて配置するこ により,PDの光量情報をVCSELアレイに送る際の電気 ノイズが低減されている.また,光源ユニットにフロ
ントモニタ光学系を一体的に構成することで,経時/周 囲温度変化に対し,安定した光量検知が可能である. Fig.7にフロントモニタ光学系のそれぞれの部分にお けるレーザビーム断面の概略図を示す.VCSELアレイ の射出ビームのうち,アパーチャミラーの開口部を通 過する方が書き込み用ビームであり,後述の書き込み 光学系によって感光体上に結像される.残りは,ア パーチャミラーのミラー部で反射され,検知用ビーム となる. アパーチャミラー VCSELアレイの射出ビーム 書込用ビーム 検出用ビーム モニタ用アパーチャ 通過 反射 感光体 PD VCSEL アレイ アパーチャミラーに反射されたビーム
Fig.7 Schematic View of Beam Profiles.
しかし,検知用ビームをこのままPDに伝達させても, 充分な精度で光量検知はできない.なぜなら,VCSEL アレイのチャンネルごとに放射角は異なるし,経時/周 囲温度変化でも放射角は変動するからである.具体的 に,VCSELアレイの放射角が広がった場合,レーザ ビームの中心部を用いる書き込み用ビームは光量が下 がるが,検知用ビームはレーザビームの周辺部を用い ているため光量が上がるという逆転現象が生じ,書き 込み用ビームと光量検知用ビームとの光量比率に誤差 が発生する.この問題は,モニタ用アパーチャの採用 で解決される. Fig.8に,モニタ用アパーチャを最適設計することに よる効果を示す.Fig.8の横軸はレーザビームの放射角 で,縦軸は書き込み用ビームの光量と検知用ビームの 光量の比率(モニタ光量比)である.モニタ用アパー チャなし,或いは最適化がされていない場合は,(a)の ように,放射角の変動によりモニタ光量比が変動する. 一方,最適化したモニタ用アパーチャを用いると,(b) のように,実際の放射角よりも1桁大きい変動に対して も,モニタ光量比を一定に保つことができる. -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 3 4 5 6 7 8 9 10 放射角 (deg) モ ニ タ 光量比 変化 ( %) (a)モニタ用アパーチャなし (b)モニタ用アパーチャ最適化後 (a) (b)
Fig.8 Dependency of Monitor Intensity Ratio on Radiation Angle. モニタ用アパーチャの最適化は,VCSELアレイの初 期/経時/周囲温度変化の放射角特性を考慮する必要があ る.VCSELアレイを自社開発することで,これら特性 の詳細を把握することができ,光量検知精度の高いフ ロントモニタ光学系を開発することができた. 4-2 書き込み光学系 4800dpiの高精細書き込みを行う際に課題となるのが, 像面上の走査線間隔,つまり副走査方向のビームピッ チの精度である.この精度が得られなければ,バン ディングなどの異常画像の原因となる. Fig.9に書き込み光学系の概略図を示す.本書き込み 光学系において,ポリゴンミラー以降に配備される光 学素子は,樹脂製走査レンズ2枚のみとした.少ないレ ンズ枚数でも,像高ごとの横倍率偏差を低減するため に,走査レンズの各面には主走査方向の座標に対し副 走査方向の曲率が変化する特殊トロイダル面を採用し ている.また,ポリゴンミラー前の2枚のシリンドリカ ルレンズをズーム調整することで,副走査ビームピッ チの補正も行っている.
シリンドリカルレンズ ポリゴンミラー 走査レンズ 光源ユニット シリンドリカルレンズ ポリゴンミラー 走査レンズ 光源ユニット
Fig.9 Laser Scanning Module.
本書き込み光学系の副走査方向の横倍率偏差,およ び像面湾曲をFig.10に示す.計4つの特殊トロイダル面 により,像高間の副走査方向の横倍率偏差を0.5%程度 に抑えることに成功している.これは40ビームすべて の副走査ビームピッチ誤差に換算して2μmである.ま た,副走査方向の像面湾曲も0.5mm以下に抑えられて おり,像高ごとのビームスポット径の均一化を図って いる. -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 -200 -100 0 100 200 像高(mm) 像面湾曲(m m ) 副走査方向の像面湾曲 -0.50 -0.25 0.00 0.25 0.50 -200 -100 0 100 200 像高(mm) 横倍率偏差( %) 副走査方向の横倍率偏差
Fig.10 Aberration in Sub Scanning Direction. また,製造誤差の影響により像高ごとの横倍率偏差 が変動する量を最小限にする必要がある.そこで走査 レンズの特殊トロイダル面については,副走査方向曲 率の変化量,および絶対値を極力小さくし,レンズ面 の変形や偏心といった誤差に対する感度を下げている. このことは同時に,空間的に離れた複数のレーザビー ムそれぞれに対して,走査レンズが与える屈折力を略 等しくすることにもなり,レーザビーム間の光学特性 を均一にする効果もある.加えて,レーザビームが各 走査レンズ上を通過する位置を最適化することにより, 副走査ビームピッチのばらつきは更に低減されている.
5.
まとめ
我々は,PP分野における高画質化の要求に応える, VCSELアレイを搭載した書き込み光学系を開発した.本書き込み光学系は,RICOH Pro C751EX/C651EXに 搭載されている.